目次
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プロジェクトOxygenとは
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8つの習慣
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マネジャーは「酸素」
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まとめ
これまで心理的安全性についていろいろと見てきました。
ここから何回か、企業で実際に行っている取組についてご紹介したいと思います。
本日は心理的安全性を高める取組として、Google社の事例をご紹介したいと思います。
「心理的安全性」という言葉を一般に広めたこと自体、Google社の取組がきっかけだといわれています。
大きな注目を集めたプロジェクトは2つあります。
1つは、最高のマネジャーになるための8つの習慣を明らかにした「プロジェクトOxygen(オキシジェン)」。
もう1つが、チームを成功へと導く5つの鍵を明らかにした「プロジェクトAristotle(アリストテレス)」です。
それぞれについて見ていきましょう。
1,プロジェクトOxygenとは
Google社は、世界最先端のIT企業として知られていますが、その成功の裏には、優秀なマネジャーの存在があります。
しかし、Google社がマネジャーの重要性を認識するまでには、様々な試行錯誤がありました。
その中のターニングポイントの1つが、2009年に実施した「プロジェクトOxygen」です。
このプロジェクトでは「優秀なマネジャーはどういう人か?」を明らかにするため、グーグルの従業員を対象に大規模なリサーチを行いました。
このプロジェクトのために、マネジャーに関する1万件に及ぶデータを集めたといいます。
人事考課、フィードバックサーベイ、表彰、その他のリポートなどのデータを集め、そこから100の変数を抽出しました。
そこからパターンを見出して仮説を構築し、その仮説を踏まえてマネジャーとのインタビューを実施しました。
仮説の検証とバージョンアップを繰り返し、およそ1年をかけてプロジェクトの研究結果をまとめたそうです。
2,8つの習慣
プロジェクトOxygenの結果、グーグルの最高のマネジャーは次の8つの習慣を持っていることが判明しました 。
- 習慣1 よいコーチであれ。
- 習慣2 部下に権限を委譲せよ。マイクロマネジメントはするな。
- 習慣3 部下の成功と幸せに関心を持て。
- 習慣4 くよくよするな。生産的で結果志向であれ。
- 習慣5 よいコミュニケーターであれ。そしてチームの声を聞け。
- 習慣6 部下のキャリアについてサポートせよ。
- 習慣7 明確なチームのビジョンと戦略を持て。
- 習慣8 チームにアドバイスができるように技術的なスキルを磨け。
興味深いのは、この8つの並びが重要順であることです 。
習慣1から順に、最高のマネジャーとしての最重要順、必須順となっているというのです 。
グーグルはご存知の通りIT(情報技術)会社ですが、重要なのはむしろ良い雰囲気づくりや前向きなチームづくりであって、専門的な技術スキルはこの中では最下位となっています 。
3,マネジャーは「酸素」
プロジェクトOxygenは、Google社にとってマネジャーの重要性を再認識するきっかけとなりました 。
実は、Google社は2002年に「すべてのマネジャーを廃止して、管理職のいない組織にする」というユニークな実験を行いましたが、これは失敗に終わりました 。
その後も、2008年には「マネジャーは重要な存在ではない」という仮説を証明しようとしましたが、これも正反対であることが判明しました 。
つまり、マネジャーは極めて重要な存在だということが、調査データからわかったのです 。
そこで、Google社は「マネジャーは重要か」から「すべてのGoogle社員が素晴らしいマネジャーに恵まれたらどうなるか?」にテーマを移しました。
優れたマネジャーの条件とは何か、正確に突き止める調査をスタートしたのです 。
そしてコードネームに「プロジェクトOxygen」とつけました。
Google社にとって、マネジャーはOxygen(酸素)であるという意思表示だと言えるでしょう。
4,まとめ
このプロジェクトから学べることは多くありますが、特に重要なことは、「マネジャーは酸素だ」というメッセージです 。
マネジャーは組織やチームにとって必要不可欠な存在であり、部下や同僚から信頼されるように努めるべきだということでしょう。
「プロジェクトAristotle(アリストテレス)」については、また次回お話したいと思います。
本日もお読み頂きありがとうございました!